音楽を通して学べること
こんにちは。アメリカで打楽器教えてるまいちょんです。
子ども達に何年も音楽を教えてますが、最近重視して教えるようにしている事は
問題解決力を養う事と、気くばりができるようになる事。
問題解決力を養う
これ、結構重要なスキルで、ぶっちゃけこれができたら先生はいらないわけです。
上達しない生徒は練習の仕方が下手くそです。そして自分で考える力がない。
「どうやったらもっと上手くなれると思うか」という質問に返って来る答えがただ単に「練習する」だったり。
「どこをどう練習する?」って聞いても「たくさん練習する」とかいう回答だったりします。まあ練習しないよりはマシですけど、もっと具体的にどういうアプローチをするか考える力がない子が多いです。
そういう子どもたちに最近よく使う言葉は
練習する時はお医者さんのように考える癖をつけましょう
- まず、診察。特に何か悪い所(改善点)があるかどうか考える
例えば、メトロノームとずれる
- どこに異常があるかつきとめる
それは、コーディネーションの問題なのか(手が思ったように動かない)
それとも、リズムを理解できていないのか
それとも、メトロノームを聞けていないのか
- 薬を処方→どういう練習方法で改善できるか考える
ゆっくり弾いてみる
1小節ずつ弾いてみる
足でビートをタップしながら弾いてみる
- 薬の効き具合を確かめる
この練習は役に立ってるか見極めて、もしあまり効果的でないなら他の練習法方を模索する
- 完治するまで試行錯誤を繰り返す
練習だけして満足しないで、きちんと結果が出るまで努力する
言うは易しですけどね。でもこれができるとできないで上達具合がかなり変わってきます。頭がいい子が何でもできるのはこの問題解決能力と自己観察力の違いだと思います。
気くばりができる事
音楽をする上で自分の立ち位置を理解出来るかどうかはとても重要な事です。例えば自分はソロイストなのか、サポーターなのかで同じパッセージでも弾き方が変わってきます。
あるソプラノ歌手の方のブログで興味深いと思ったのが、普段赤い服ばかり着てると思われがちなのは、ソプラノとしての立場上地味な色の服を着ると他の人が困ってしまうからだそうです。本人は実は淡い色が好みだそうですが、主役が目立たないと周りが苦労するという気配りから派手な色をわざと選んでいるんですね。
打楽器は逆に主役になることはあまりないんですが、サポーターとしての立ち位置をわきまえて、どうやってバンドに貢献出来るかを常に観察する練習をしないといけません。自分の役割がメトロノームならなるべくバックグラウンドで。ここぞという時の効果音ならパンチの効いた音を出したり。ティンパニなら低音セクションと音程やアーティキュレーションをマッチしたり、鍵盤楽器ならメロディーセクションとフレーズを合わせたり、バンドやオーケストラのサイズに合わせて音量を調節したりと、状況に応じて適切に弾き分けることができないといけません。
打楽器のパートは他の楽器に比べてシンプルですが、簡単だと思ってこの気配りを怠るといいミュージシャンにはなれないです。
先日中高生向けの吹奏楽の曲のレコーディングに参加したんですけど、サブで来た打楽器の人が全然空気読めない人で一緒に演奏するのに苦労しました。
私がビブラフォンでフルートのソロパッセージのオブリガートを弾いていて、フレーズの終わりの大切な瞬間に全然違うタイミングでチャイムを大音量で鳴らすんです。びっくりして振り返って意思表示をしたんですけど、それすら気付かず飄々としてて、自分が何をしてるのか分かってない感じでした。
彼的には正確にメトロノーム通りきっちりカウントして弾いてるんだろうと思うんですけど、全然周りの音を聴けてない。。。実際メトロノーム通りきっちり弾けたりチューナー通りの音程で弾けても周りとずれてたら意味ないですからね。
終わりに
問題解決力と気配りできる事。これは音楽だけではなく、私たちが普段生きていく上で重要なスキルです。教育者として、子ども達が大きくなって、例え音楽を辞めてしまっても、音楽を通して学んだスキルを使ってそれぞれの分野で成功できる力を身につけてくれたらいいなと思う限りです。