まいちょんの学びの部屋

アメリカ在住打楽器奏者の日々の学びをシェアするブログ

打楽器って誰でもできると思ったら大間違いですよっていう話

こんにちは。アメリカで打楽器やってるまいちょんです。

 

今はクリスマスコンサートまっさかり。音楽家にとって一番稼ぎ時のシーズンです。ピンからキリまでレベルが様々なギグに色々呼ばれる訳ですが、今回演奏したオーケストラが最悪でした。というのも、

 

オーケストラの打楽器セクションが私以外本物の打楽器奏者じゃなかったんです!

 

そして言わずもがな、打楽器セクション足引っ張りまくり。

これ、結構良くあるパターンで、今までも何回も経験しましたが、今回はほんまに酷かった。。。

 

なので、今日は打楽器は誰でもできると思ったら大間違いじゃこんちくしょー!というお題。

 

 

別に下手くそな人を責めてるわけではないのです。

色んなレベルの人がいるのは当たり前。たまには酷いレベルの人たちと演奏する事もあります。別にその人たちがその人達なりのレベルでベストを尽くして頑張っているのに上から目線で物を言いたい訳ではありません。

 

私の教えている大学でも打楽器の人数が足りないので声楽科や弦楽器の生徒がウィンドアンサンブルで打楽器パートを担当する事があります。でもそれは人手不足という前提があって、音楽教育という目的があります。音楽教育学専攻の生徒が打楽器パートを経験することは将来打楽器を教えたりするのに役立つからです。

もちろん初心者なので下手くそですが、それは当たり前なので特にイライラする事もないです。

 

私が怒り心頭なのは、商業目的のオーケストラが人件費をケチってプロを雇わない事です!

 

一番最初にケチられるのが打楽器

どこのオーケストラも経済危機で人件費を削減したいのは分かります。安い人材で高給料の人と同じような働きをしてくれるならそれに越したことは無いんでしょうけど。それで一番最初にケチられるのが打楽器パート。打楽器なんて叩けば音がなるから誰でもできると思われるんですね。悲しいかぎりです。

 

私がドイツのオペラフェスティバルで演奏した時、トライアングルのパートが足りなかったので、指揮者が出番のないサックスの人にトライアングルを叩く様に指示しました。他の打楽器パートのメンバーは猛反対しましたが、私はたかがトライアングルごときでそんなに怒らなくても、と思いました。それで実際サックスの人がトライアングルを担当したものの、本番落ちて全然譜面通りに叩けてませんでした。変な所で変な音をだすくらいなら無い方がマシ。

 

打楽器は誰でもできるものではない!

打楽器は叩けばなるので簡単と思われがちですが、音が鳴ればいいというわけではありません。的確な場所とタイミングで叩くのは結構大変なんです。

 

休符を数える難しさ

打楽器は出番がほとんどない事もあるので大量の休符を数えないといけません。ちょっとでも気をそらすとオチます。

 

大量の音符を読み続ける難しさ

音程のない楽器(シンバル、バスドラム等)の譜面は同じ音符が大量に並んでいるのでたまにどの音を叩いているのか分からなくなります。少しでも見落とすとオチます。

 

打楽器の総譜を読む難しさ

打楽器のパート譜はたまに複数の楽器がまとめて書いてあるので、他の人のパートを目で追いつつ楽譜を先読みしながら次の自分の出番を確認したりしないといけません。ラインが増えたり減ったりして読みづらかったりすると気づけば出番が目の前でミスったりすること多々

 

鍵盤楽器の難しさ

鍵盤楽器(シロフォンやグロッケン)はピアノと変わらないイメージですが、ピアノと違って鍵盤を指で触れない上に鍵盤の太さが楽器やメーカーによって違うので結構な割合で音を外します。指揮者と楽譜と楽器を同時に見るのは難しいです。

 

楽器によって鳴り方が違う

鍵盤楽器やトライアングルは管楽器や弦楽器に比べて音が鳴るのが早いので初心者の人が担当すると出だしが早くなる人が多いです。私はいつも他の管楽器の人と一緒に息を吸って入るようにしますが、初心者の人にはそういう概念がないです。

逆にタンバリンやジングルベル等は叩いてから音が鳴るまで時間がかかるので早めに入らないといけません。

シンバルなどの重たい楽器も振りかぶってから叩くまでに余分な時間がかかったりするので出だしが遅れることがあります。

その他もどこにセットアップするかによって時差が生じたり、オーケストラによって音を鳴らすタイミングが違ったりするので、これは長年培った感覚が必要です。

 

打楽器のアンサンブルに催すインパクトって半端ないですよ 

打楽器はどの楽器も菅楽器や弦楽器に比べてブレンドしにくい音です。特に打楽器は大きい音が鳴るようにできてるので、どんなに小さい音で叩いてもお客さんに聞こえます。一人一人がソロ担当なので他の楽器に隠れて弾くこともできません。

言い換えると、変なところでズレズレのタイミングでシンバルとか鳴らそうもんならアンサンブルを簡単に潰してしまうことになるんです。打楽器はクライマックスの重要なタイミングとかで脚光を浴びる楽器です。お客さんの注目の的です。そこに下手くそな人を雇う事の危険性を分かってもらいたいです。

 

打楽器のプロに失礼

オーケストラがケチって安い人材を雇うという事はそれと同じだけのプロの打楽器奏者が職を失うという事です。曲がりなりにも音大を卒業してちゃんとした打楽器のテクニックを身につけている人が、素人の何も打楽器の事を知らない人に仕事を奪われるんです。

私が先日演奏したオーケストラも、他の楽器はプロを雇っていたのに打楽器だけ素人を使ってました。打楽器はオーケストラにとって重要ではないと言ってるようなものです。確かに打楽器はオーケストラのメインの食材ではないかもしれませんが、最後の飾り付けの有無で料理の出来栄えはグンと変わってきます。

 

お客さんにも失礼

中高生の発表会とかならまだしも、プロのオーケストラがお客さんからそれなりの値段のするチケット代をとってるにもかかわらず、ベストの演奏を提供しないのはめっちゃ失礼だと思います。クリスマスコンサートは他のクラシックの曲に比べて簡単で客受もいいからどんな演奏でも喜んでもらえると思ってるのかもしれませんが、普段からサポートしてもらってるお客さんにとって失礼極まりない!

 

最後に 

今回は打楽器の重要性について熱く語ってみました。打楽器パートは出番少ないのに給料同じとかフェアじゃないとか思われがちですが、打楽器の人もそれなりに苦労している事を分かってもらえたら幸いです。悶々と色々考えさせられた週末でした。