まいちょんの学びの部屋

アメリカ在住ママ兼打楽器奏者の日々の学びをシェアするブログ

私が新曲を料理するときのこだわり

こんにちは。アメリカでSpiral Staircase Duoというホルンと打楽器のアンサンブルをしてます。まいちょんです。

 

来月アーカンソー州の大学でリサイタルをするにあたって新曲を今練習中です。これは、旦那さんの友達の作曲家さんにお願いして書いてもらった曲で、今回が初のプレミアです。

 

この曲のお題は#kitty

SNSの数々の猫の投稿を元に作った曲です。うちの猫sもついに曲デビューしました。一楽章目のタイトルはMarimba Bed。

 

maichon.hatenablog.com

 

しかし、この曲、なんかノホホンとしたイメージですが、まあ難しいことったら。

 

まず、楽器多すぎ!

こちらが私のセットアップ図です。

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写真に納まりきってませんがこれプラスさらに足でキックベースを踏むという、なんともまた色々要求してきはりますこと!

もう一つ別に植木鉢のセットアップもあります。

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一応私が持ってる楽器のリストを送ったところ、またご丁寧に大量に使って下さいました。

一瞬、これ必要ですか?と言いたくなる気持ちを抑えて練習中。

 

何年も前に演奏したIannis XenakisのPsaphaという曲をちょっと思い出しました。この曲は今まで弾いた曲でもトップレベルの難しさだったので、まあこれができたら、キティなんて足元にも及ばないわと思いながら練習中。

www.youtube.com

 

やってるうちにオタクな域に入って難しいパッセージとかもできるようになってくると楽しくなってきます。楽器の配置を色々工夫してみたり、敷物ひとつにしても色々改良することで楽器の音の響きが変わってきたり、打楽器って奥が深いんです。最初はこういう作業が時間の無駄に思えたんですが、実はこの作業が曲全体に及ぼす影響は計り知れません。いい食材が揃わないとおいしい料理ができないようなもんですね。

 

自分の固定観念にとらわれないで曲のうま味を引き出す

作曲家さんが打楽器奏者でない場合、しっくりこないような楽器の使い方をされる事が多々あります。

私の方が打楽器の事はよく分かってるので、逆に反発したくなる事多々。この寿司のネタは特上なのに何でわざわざ上にソースとかてんこ盛りにして食べるんですか?!みたいな憤り。

たとえばこの曲も私的には楽器を使い過ぎな気がするんですね。さらに、この楽器にホルンの旋律プラス、SNSの猫の投稿を読み上げないといけないという。もう寿司ネタかくれまくり。

多ければいいってもんじゃないですからね。特に、何か特別な理由があってこの音色を使いたいというような事がないと、これ本当に必要?って思ってしまいます。

 

でもここで思考を切り替えて、逆にたくさんの楽器を調合して生まれる新しい音色の可能性を追求していく事で、新たな発見が生まれます。

 

先日、アメリカ人の旦那さんがバレンタインに私のために日本食を作ってくれたんですが、オクラとセロリと大量のネギを投入した、なんとも色鮮やかな緑色のみそ汁を作ってくれました。なんて斬新なアイデア!と思いましたが、食べてみたらセロリの甘さがひきたったおいしいみそ汁でした。

 

なので、#kittyも、調合具合を工夫して色んな音が引き立つように調整しつつ、レシピ通りに調理中です。

こんな風に考えられるようになれたのも恩師のお陰。

 

maichon.hatenablog.com

 

 

あと、もう一つ気になる部分が、この曲に選ばれたSNSの猫の投稿。

何となく、思ってたのと違う。作曲家さんの友達の猫の投稿ばっかりなので、身内ネタっぽいといいますか。もっとこれあるある的な投稿があるのに何でわざわざこのネタ使うんですか?みたいな。

 

正直、最初の印象は、

自分の猫はかわいいけど、人の猫の話なんて興味ないわ!

っていう(笑)

 

もともと猫がお題になったのも、打合せ時に作曲家さんが私達にとって大切なものやパーソナルな曲を作りたいということで決まりました。色々うちの猫の写真とか送ってたので期待していた分ちょっとがっかり。

表紙の写真も作曲家さんがfacebookで猫の写真を募って選ばれた猫の中から投票が行われました。うちのオレちゃんも候補に上がったものの、劣勢(涙)

しばらくふて寝して、悶々としつつ、自分に問いかけました。

 

私は毎回この曲を演奏するたびにオレちゃんが表紙に選ばれなかった事を思い出したいだろうか。いやそんなはずはない!

 

わが子の事になると母は強し。私はほとんどSNSは使わないんですが、この時だけはSNSを駆使してオレちゃんを宣伝しまくり、ついに表紙の座を獲得しました(笑)

これです!可愛いでしょ?

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話を戻しまして、他の人の猫の投稿。

これも、これ必要?じゃないですけど何となく違和感がずっとあったんです。作曲家さんにも相談してみたんですが、今さら変える気はないっぽく、やっぱり使わないといけないっぽいので、好きになれるように一生懸命考えました。

一つ一つの投稿だけでは意味が分かりづらいので、投稿者のInstagramとか見に行って他にどんな投稿をされてるのか見てみました(怪しいものではありません)。そうやって色々見ているうちに、どの投稿も共通して「猫をかわいがる飼い主の愛情」みたいなものが伝わってきました。これあるある的な猫の写真では表現しがたい、奥深い感情。私にもすごく共感できるものでした。急にどうでもいい他人の猫がかわいく見えてきました(笑)投稿者の人にも連絡をとって「かわいい猫ですね。今度の演奏会で演奏します」って伝えたらすごく喜ばれました。

 

Character divelopmentをいかにお客さんに表現できるかが今後の課題です。

 

#kitty、いい具合に仕上がってきてます。プレミアまであと数週間、がんばって練習します。

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